ソロ・アーティスト“Leda”の今に迫るロング・インタビュー。

現在の彼を形成した DELUHI、UNDIVIDE、Far East Dizain への想いをはじめ、ソロでの活動を決めた理由、そして最新音源となるEP2作に至るまでを前編・後編で徹底的に語り尽くします!

 【インタビュー後編】

 

――では、ここからは『MIRAGE OF GEMINI』と『Cygnus Lake』の収録曲についても訊いていきます。まず、「GEMINI INSIDE」を1曲目に持ってきた気持ちはよく分かりますね。のっけから凄まじいインパクトで、ブルータルかつ哀愁があって、バッキングひとつとってもキメ細かく構築されているという。
Leda:
そうですね、これはかなり作り込みました。

――ギター・ソロも1stパートと2ndパートの他、さらにアウトロにまであって、しかもどこを切っても聴き応えがあるんですよね。
Leda:
“泣き”もちゃんと入れてますしね。

――そうなんですよ。2ndパート終盤にメカニカルに紡がれる高速フレーズなども印象的でした。
Leda:
DELUHIの時もそうでしたけど、キャッチーな“キメソロ”っていうんですかね。例えば、 DEEP PURPLEの「Burn」 のギター・ソロ後半のコード分解のパートや、イングヴェイ・マルムスティーンの「Never Die」の3本弦スウィープのキメソロとか、そういうメカニカルな雰囲気のものが好きなんですよね。それをDELUHIの時に意識してやっていたものが自分のキャラクターになっていて。それこそ「Frontier」のソロ後半もそうなんですけど、これが自分のスタイルですね。

――ああ、たしかに。ルーツに立ち返りつつ、今の技術とセンスで表現されてるわけですから強いですよね。先ほどの話(※インタビュー前編参照)を踏まえると、あえてDELUHIを例にして言うなら、「S[K]ape:goat」の緻密なリフさばきがアップデートされた感もあるし、「HYBRID TRUTH」のような得も言われぬ衝撃も感じられて、過去を捨ててないことが伝わってきました。
Leda:
そうですね、それは自分のなかのテーマとしてありました。新しいことをやりたいから過去を切り捨てるんじゃなくて、これまでの経験があるからこそ今があるってことを真摯に音楽に出したいなと思っていたので。時期的にDELUHIの限定復活ライヴ(2019年4月)が近かったから、自分のなかにあるそういうエッセンスも改めて気づくことができたところはありますね。

――ああいった機会がなければ、今やDELUHIの楽曲に対峙することもなかった?
Leda:
なかったし、当時の曲は、今聴くと自分のなかではすごく歯抜けの状態みたいに聴こえるんですよ。足りてないというか。でも、それがあの時に精一杯やっていたことなのと、それを好きだって言ってくれる人がいるので、そういうものに立ち返ってやれるような器の大きい自分になりたいなと。特に2曲目の「EYEWALL」は、まさに自分の過去の引き出しから引っ張り出せる器の大きさを持っていたいなと思って作ったものですね。高揚する感じやストレートさ、得られるカタルシスの部分で「Frontier」を意識してるんですよ。

――おお、なるほど! 「EYEWALL」がリード・トラックにあたるんですよね。
Leda:
そうですね。バッキングが分かりやすかったり、テクニカルに走りすぎない結構ストレートな形で......“キタコレ!”感じゃないですけど、ど頭にヴォーカルのスクリームがあって、ツーバス踏みまくりで連打するっていう、王道スタイルっていうんですかね。FEDの時は結構避けていて、もっとモダンにしたかったようなところも、今なら昔に立ち返ってやれるなと。

――全体的に分かりやすくしつつも、イントロのリフなど、結構凝った作りになっているところがまたらしさかなと思いましたけど。
Leda:
そうですね(笑)。あまり今までやってこなかったスタイルではあるんですけど、こういう衝動的なリフがあってもいいかなと。僕の作るリフは、凝りに凝ったのものか、スラッシュみたいなものが多かったので。

――名リフ・メイカーですよ。続く「MERCY FOR YOU」は、メイン・リフで高音弦の音を入れる小技が効いてますね。
Leda:
テーマ的には“8弦ギターじゃないとできないリフ”で、ちょっとテクニカルですよね。8弦から1弦まで使ってるんです。6弦ギターのチューニングを下げて、別録りでギター・ソロを弾けばいいっていうんじゃなく、8弦ギターじゃないと再現できないようなものを今後目指していきたくて。その一例を分かりやすくこのリフにしてみたという。

――マッチョなイメージで曲は進みますが、サビはしっかりとキャッチーに仕上げていて、RYOさんの歌が活かされているなと。
Leda:
こういうメタルコアやハードコア・スタイルの楽曲を出せるのも、RYO君のヴォーカル・スタイルがあって、英詞でいけるからこそなんですけど。これが日本語だとなかなかマッチしなくて、16分とか8ビートの裏ノリのようなリズムが乗らないですね、発音的にカクカクしてるので。

――ギター・ソロの後半、スウィープを交えたゴ リ押しのフレーズがまた圧巻で...。
Leda:
そこ、評判がいいみたいで、いろんな方が指摘してくれますね(笑)。ひたすら速弾きをしてるところですよね。最近、“より速弾きを速く弾く”みたいなところを意識していて、あのフレーズも実は分解してゆっくり弾くと、たいしたことをやってないんですよ。......なんですけど、そういうものも速く弾くだけで、「何だこれ、すげえ!」って感じられる。そういったインパクトや勢いって大事だと思うんですよね。

ーーそして、ラストが「MEANING TO THE DARK」。これは毛色が変わって、哀感のある歌が乗ったグルーヴィなミッド・ナンバーです。
Leda:
当初、他の曲が入る予定だったんですけど、最初のライヴを経て、今までRYO君が歌ったことのないような曲にトライしてみて欲しい、彼の歌の可能性を引き出してみたいなと思い立って急遽作った曲です。彼はいろいろなタイプの楽曲をカヴァーしてますけど、自分としては彼が歌うこういう曲をようやく作品として形にできたなという。あれこ れディスカッションして、いろんな歌の表現の仕方を試しながらレコーディングをしていって、すごく 楽しかったですね。

――しかもRYOさんの場合、その都度すぐにモノ にできてしまうんですよね?
Leda:
ええ、彼は器用ですね。ほとんどがOKテイクで、ニュアンス違いだったりするところから曲に合うテイストをチョイスするだけだったので、すごくスムーズでした。

――しかし、ちょっと早いかもしれませんが、自分史を凝縮したような手応えアリの作品になったようですね。
Leda:
曲が揃って完成した時に、これは自信を持って出せるなって確信できましたね。本当に名刺代わりの作品で、「これを聴いてくれれば大丈夫で す」っていう水準のところまで持っていけたと思います。

――そして、もう一方のEP『Cygnus Lake』。急遽リリース日はずれましたが、それだけギリギリまで詰めの作業をしていたということですよね。
Leda:
そうですね。『MIRAGE OF GEMINI』が完成に近づいて、ものすごい手応えを感じているなかで、よりパーソナルな部分を表現するギター・インスト作品に対してのプレッシャーを感じるようになっていて。『MIRAGE OF GEMINI』にも入れられる同じような楽曲に絶対したくなかったから、なかなか曲ができなかったですね。作品として二極化したくて、でも奇をてらうわけじゃなく、自分が表現したいことをギター・インストでやるべく、かなり試行錯誤しました。結果的には自分が思い描く、対をなすような全然テイストの違う作品ができました。『MIRAGE OF GEMINI』ではライ ヴで盛り上がれるような楽曲を作ることに専念して、自分のなかにあるテクニカルなものやプログレッシヴなものに対する欲求を満たすべく作ったのが『Cygnus Lake』ですね。 よりインナーな部分を表現しているというか。

――まず1曲目は、「albireo」。緩急ついたリード・プレイが強烈で、テクニカルな要素とメロディックな要素が、どちらも存分に詰め込まれていますね。
Leda:
弾きまくるだけの作品にならないように、ちゃんとメロディも弾いていきたいなと考えて。やっぱりインストに関する自分の経験が少ないので、まだ方法論がそれほど備わっていないなと感じましたね。ギター・ソロを弾くにしても、今までは32小節程度で終わっていて、それを広げるだけといえばそうなんですけど、例えばそれを4分の尺に伸ばすことは結構難しいんだなと実感しました。

――冗長になってもいけないですし。
Leda:
そう。テーマ・メロディ以外は同じフレーズを弾くわけにもいかないし、どうするのが正解なのかなとか探りながら......いろんなギター・ソロのパターンを試してみたり、それこそ別のギターで弾いてみようかなとか、かなり探りながらやりましたね。まあ、経験が少ないわけですけど、それをポジティヴに捉えたら、自分のなかに余白が結構あるということなので。テーマ・メロディの前に最初のイントロがあったり、宇宙を感じさせる展開をエンディングにも持っていったりして、ヴォーカルがいない分、方法論にとらわれずに自由に曲を作れていったかなと思いますね。

――続く「Stella Cygnus」は、メタルの枠にとらわれない、より普遍的なギタリストのソロ曲という 印象もありました。
Leda:
この曲が、ソロ・ギタリストとしての自分を物語るような一曲になればいいなと思っていて。ソロの場合、歌では表現できないメロディを弾いていきたいなと思っているんです。僕は自分のことを、歌メロを表現するスタイルのプレイヤーではないなと考えていて、どちらかというとスティーヴ・ヴァイみたいなスタイルに憧れるというか。もちろん、そのまんまヴァイのようなプレイができるというわけではないですけど、あの人のプレイって楽器じゃないと表現できないものですよね。だから、この曲では普通じゃない複雑なコード進行にして、メロディの飛び方も、歌ではなかなか表現できないこと をメロディ・ラインとして弾いているんです。

――冒頭からオシャレな雰囲気で。
Leda:
そうですね(笑)。メタルっぽくない感じかなと思って。

――ソロ・ギタリストとしての幅を見せられる曲ですし、こうして表現欲求はそれぞれの作品で満たされているから不満はなさそうですね。
Leda:
ええ(笑)。自分のなかで2枚が本当に上手く作用しているので、どっちつかずとか、「何がやりたいんだ?」みたいなことにはならないと思うんです。その時々でしっかり住み分けをしながら表現をして、それぞれのEPに同じ引き出しの方法論を使わないようにしました。

――それに、全部を盛り込まなくてもLeda作品は十分濃いですから。そして、ラストが「Lake ruins」。
Leda:
“湖底の遺跡”みたいなものをテーマにしていて、過去に文明が栄えていた情景をノスタルジックにイメージできるような......湖の音やコーラスも入れて、そういうサウンドスケープを表現したいなと思って作りましたね。中盤では“落ちる”セクションを作って、文明が衰退して無くなっていく、そういう切なさみたいなところを表現したりしてます。

――そこから再び息を吹き返していくようなあのセクションは、非常にドラマティックですね。
Leda:
ありがとうございます。今話したような情景を映像にしたとして、そのバックに流れるサウンドトラックをイメージしたんですよね。これまではそれほどインストの音楽に興味がなかったんですけど、“Legend Guitarist”に参加したことが、自分にとってインストがどういうものなのかを考えるきっかけになって。僕の場合、テーマは日常の出来事や恋愛など何でもいいんですけど、何か映像をイメージして、そのバックで鳴るサウンドトラックを作るようにしているんです。そこで芽生えた自分の感情に忠実なサウンドトラックというか。

――なるほど。
Leda:
それと、歌モノだと具体的な言葉を選ばなきゃいけないけど、インストであれば、例えば“悲しみ”がテーマだったら、リスナーそれぞれが持つ悲しみに対するサウンドトラックにすることができますよね。

――固定観念を与えず、受け手の想いに寄り添うものになれるというか。
Leda:
そう。ただ、受け手の感情自体はコントロールすることはできると思うんです。例えば、AマイナーとEマイナーを交互に弾いたとして、明るい気持ちになる人はいないと思います。そうやって人間の音楽に対する心理みたいなところで気持ちを動かすことはできるじゃないですか。ベートーヴェンの「運命」を聴いて、明るくハッピーになる人はいないはずだし(笑)。音楽でリスナーの感情を動かしつつ、それぞれのリスナーのイメージに沿ったサウンドトラックになりうるので、これなら自分がインストを作る価値があるなと感じるようになりましたね。なので、インストに関しては毎回テーマを設けてから作るようにしています。

――また、CDのリリースと同時にサブスク配信もしていますが、やはりそこは一人でも多くの人に聴いてもらうことを優先してですか。
Leda:
そうですね。変に狭めることをせずに、言ってしまえば、無料でもいいぐらいの想いで......もちろん利益とか大事ではあるし、それで活動できる部分は大いにあるので、そこには本当に感謝してますけど、この音楽を聴きたい人すべてに届くようにしたいなと思ったんですよね。メジャー・レーベルのように展開が大規模なわけではないし、プロモーション活動もそこまで広い形ではできないので、サブスクや YouTube だったり、そういうところも効果的に使っていきたいですね。

――そうしたなかで、ライヴ会場ではCDを買い求める人もたくさんいましたし、パッケージとして手元に置いておきたい音楽だと思う人も多いんでしょうね。
Leda:
ありがたいですね、この時代に盤を買ってくれるというのは。だから今回、通販限定ではありますけど、DELUHIの「FOLLOW THE FUTURE」を今の形でセルフ・カヴァーしたCDを付けていますし、パッケージを購入してくれる人に向けてのスペシャルな形を今後も作っていきたいと思ってます。

――リアレンジされた「FOLLOW THE FUTURE」ですが、ライヴで初めて聴いて、しょっぱなからあのチューニングに戦慄しましたよ。
Leda:
ああ(笑)、ギターがベースみたいな音になってますからね。RYO君の歌も強烈で、まさにメタルコアになっているという。

――それで、昨年12月に開催されたEP発売記念のそのライヴについても。東京と名古屋の計3ヵ所のツアーでしたが、感触はいかがでした?
Leda:
純粋にすごく楽しかったです。自分のソロに多くの人たちが足を運んでくれて、心から楽しんでくれている姿を見られて本当に感謝しましたし、その光景に自分も報われたといいますか。作品をリリースできて、ライヴもできて、メンバーもスタッフも一丸となってステージを作ってくれたので、ありがたいなと思いましたね。パフォーマンスに関しては、ファイナルでは出しきることができて、ライヴ自体はやればやるほど良くなったし、かなり手応えがありますね。このままのスタイルで続けていく価値はあるし、この方向で間違ってなかったなと確信しました。

――最後には、ステージ上からフル・アルバムの制作をいきなり宣言しましたし。
Leda:
EPを作って、ライヴをやって、心の底からアルバムを作りたいなと思えたんですよね。そう遠くない未来に......ツアーとの兼ね合いも含めて、今年にはリリースしたいですね。ライヴもまた今回のメンバーで廻りたいですし。まだソロは始まったばかりなので、対バンできる人たちをこれから探していきますけど、とにかくやりがいがあるし可能性も感じてるので、メンバーのモチベーションも高く維持したまま続けていきたいなと思ってます。

――ライヴを観て感じましたが、各メンバーのキャラクターもあって良好な空気感でやれていそうですね。
Leda:
なんか楽しいですよね。たまたま集まってできた組合わせですけど、それぞれのキャラクターがいい感じに出ていて本当に助かります。

――そして5~6月にかけては、Cazqui's Brutal Orchestra、HER NAME IN BLOOD、DOPEDOWN、Unlucky Morpheusとのツーマン・ライヴが決定と。また、その間に延期となった6月6日の新横浜strageでのアコースティック・ライヴがありますが、シンガーとしてのRYOさんへの愛が伝わる企画で。
Leda:
ははは(笑)。以前、彼自身が歌っている動画をSNSに上げていて、本当にクリーン・ヴォイスも上手いんだなと思ったんですよね。それが僕とマネージャーの間で話題になって、そこからこういう企画が浮上して。ステージに上がり続けることも彼にとってモチベーションになるし、アコースティックだったらフットワーク軽くできますから。なおかつ今後アルバムを作る上で、いろんな表現方法をしているRYO君の声を聴いたら、また最初のライヴの時みたいに僕のなかでインスピレーションが湧くと思うんですよね。そういう狙いもあるんです。純粋に彼の歌をいろいろ聴いてみたいし、「これはもっと広く知ってもらうべきだよ」っていう話を彼にもしてるんですよね。今回のライヴはすべてカヴァーで、老若男女楽しめるセレクトにしているので是非観てもらいたいですね。

――今後は、Ledaという名を掲げたソロ活動を軸にしつつ、これまで同様に様々なフィールドでサポートなどでも活動していくわけですよね。
Leda:
そうですね。バンド・スタイルとインスト・スタイルの2つのソロを本筋として、それにとどまらず、あらゆる方面で音楽活動をしていきたいなと思ってます。

――しかし、最初のEPで自らハードルをかなり上げてしまいましたね。
Leda:いや、そこは全然大丈夫です(笑)。今回の作品をさらに越えていくので、楽しみにしていてください。

 

◎文=早川洋介
 

INTERVIEW

© 2019 by Leda.All Rights Reserved.